高額療養費制度は、病気やケガの種類を問わず、病院や薬局の窓口で支払った1ヵ月(月の初日から末日まで)の医療費が高額になった場合、一定の金額(自己負担上限額)を超えた分が払い戻される制度です。
高額療養費制度が適用されたときの最終的な自己負担額
公的医療保険に加入している人であれば利用できますが、制度の対象となるのは公的医療保険が適用される診療で、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは対象外です。
1つの医療機関での自己負担額が上限額に達しない場合でも、同じ月に複数の医療機関を受診した場合は、それぞれの自己負担額を合算できる場合があります(69歳以下の場合は、1医療機関あたりの自己負担額が21,000円以上)。合算した自己負担額が上限額を超えた場合には、高額療養費制度が適用されます。
自己負担上限額・負担をさらに軽減するしくみ
自己負担上限額は、申請者の年齢(69歳以下、70歳以上)と所得水準によって異なります。70歳以上の方の一部には、外来だけの上限額も設けられています(下表参照)。
69歳以下の方の自己負担上限額(2026年8月~2027年7月)
70歳以上の方の自己負担上限額(2026年8月~2027年7月)
- 義務教育就学前の者については2割。
- 収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)の場合も含む。
- 旧ただし書所得の合計額が210万円以下の場合も含む。
- 課税所得が28万円以上かつ年金収入+その他の合計所得金額が200万円以上(複数世帯の場合は320万円以上)の者については2割。
- 「年収換算~約200万円(健保:15万円以下、国保:86万円以下)」区分に該当することが確認できた者は、年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払い。
- 「年収換算~約200万円(健保:15万円以下、国保・後期:28万円未満)」区分に該当することが確認できた者は、年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払い。
厚生労働省. 高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)(https://www.mhlw.go.jp/content/001726232.pdf)
また、高額療養費制度には「多数回該当」や「世帯合算」というしくみがあり、継続して高額な医療を受ける必要がある場合や、世帯全体の医療費がかさんだ場合に、自己負担額がさらに軽減されます。
さらに、2026年8月からは制度の見直しにより、新たに年単位の上限額(年間上限)が設けられました。月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間の上限額に達した後は、それ以上の自己負担額については、保険者から還付を受けることができます。
多数回該当
- 過去12ヵ月以内に3回以上高額療養費制度の適用を受けた場合、「多数回」の該当となり、4回目から自己負担上限額が引き下げられる。
世帯合算
- 同じ公的医療保険に加入している家族が支払った自己負担額を合算し、その合算額が自己負担上限額を超えたときに、超えた金額が支給される。
医療費控除の手続き
- ①
- 加入する公的医療保険から送られてくる「医療費通知」「医療費のお知らせ」などで、1年間に支払った医療費が控除の対象かどうかを確認
- ②
- 「確定申告書」や「医療費控除の明細書」を税務署の窓口、または国税庁のホームページから入手し、必要事項を記入
- ③
- 必要な書類を税務署に提出(通常は、2月16日から3月15日のあいだに確定申告書を提出)
約1ヵ月から1ヵ月半後、
指定した振込口座に還付金が振り込まれます
医療費控除の計算方法
<還付金のめやすの計算方法>
お問い合わせ先:最寄りの税務署
国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)
高額療養費制度の利用方法1-3)
高額療養費制度を利用するには、3つの方法があります。
1つめは医療機関や薬局の窓口*でマイナンバーカード(マイナ保険証)を提示する方法、2つめは限度額適用認定証を提示する方法です。この2つの方法では、窓口での支払い額が自己負担上限額になります。ただし、限度額適用認定証は事前に申請の手続きが必要です。
*オンライン資格確認を導入している医療機関等
3つめは、医療機関や薬局の窓口で通常通りの金額を支払い、その後加入している公的健康保険に申請をして、自己負担上限額を超えた分の払い戻しを受ける方法です。申請から払い戻しまでは通常数ヵ月かかります。
3つの利用方法
① 窓口でマイナ保険証を提示する
医療機関や薬局の窓口※でマイナ保険証を提示し、顔認証付きカードリーダーで限度額情報の提供に同意する。
手続き不要
窓口での支払い額が自己負担上限額に
② 窓口で限度額適用認定証を提示する
限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証は、加入している公的医療保険に申請書を提出すると交付される。医療機関や薬局の窓口にこれを提示する。支払いの発生までに交付が間に合わなかった場合は、事後に払い戻しの手続きをする。
事前の手続きが必要
窓口での支払い額が自己負担上限額に
③ 事後に手続きをする
医療機関や薬局で通常の金額を支払い、後日、加入している公的健康保険に高額療養費の支給申請書を提出する。
事後の手続きが必要
申請後に払い戻し
※オンライン資格確認を導入している医療機関等
厚生労働省. 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)
厚生労働省.マイナンバーカードの健康保険証利用について~医療機関・薬局で利用可能~(https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000577618.pdf)
限度額適用認定証とは?
- オンライン資格確認を導入していない医療機関等を受診する場合や、マイナ保険証をお持ちでない場合は、「限度額適用認定証」(住民税非課税世帯の方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)を医療機関等の窓口に提出すると、窓口での支払いを自己負担上限まで抑えることができます。
- 「限度額適用認定証」の交付を受けるためにはあらかじめ申請が必要です。加入している公的医療保険(市区町村、協会けんぽ、各健康保険組合など)に申請することで交付を受けられます。交付の条件や手続きについては、加入先の公的医療保険窓口でご確認ください。
〈参考文献〉
- 厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)
- 厚生労働省:マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html)
- 協会けんぽ:限度額適用認定証(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/high_cost_medical_expenses/001/index.html)